おやゆびひめ | 本のプレビュー | Little Reading
おやゆびひめ

おやゆびひめ

親指(おやゆび)ほどの小(ちい)さな女(おんな)の子(こ)が、大冒険(だいぼうけん)をして本当(ほんとう)の居場所(いばしょ)を見(み)つけるお話(はなし)。

年齢
5-10


5738

著者
Hans Christian Andersen

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1. 小(ちい)さな願(ねが)い 🌱

むかしむかし、あるところに、子(こ)どもをほしがっている女(おんな)の人(ひと)がいました。

とてもとても、ほしがっていました。

でも、子(こ)どもはいませんでした。

彼女(かのじょ)は物知(ものし)りな魔女(まじょ)に会(あ)いに行(い)きました。

「助(たす)けてくれませんか?」と聞(き)きました。

魔女(まじょ)は特別(とくべつ)な種(たね)をくれました。

「これを植木鉢(うえきばち)に植(う)えなさい」と魔女(まじょ)は言(い)いました。

「すてきなことが起(お)こるよ!」

女(おんな)の人(ひと)はお金(かね)を払(はら)いました。

そして種(たね)を持(も)って急(いそ)いで家(いえ)に帰(かえ)りました。

彼女(かのじょ)は鉢(はち)に種(たね)を植(う)えました。

ていねいに水(みず)をやりました。

すぐに美(うつく)しい花(はな)が咲(さ)きました!

チューリップのような花(はな)でした。

花(はな)びらは固(かた)く閉(と)じていました。

「なんてかわいいお花(はな)でしょう!」と女(おんな)の人(ひと)は言(い)いました。

花(はな)びらにキスをしました。

すると突然(とつぜん)、ポン!

花(はな)が開(ひら)きました!

中(なか)には、とても小(ちい)さな女(おんな)の子(こ)が座(すわ)っていました!

2. おやゆびひめ 👧

その女(おんな)の子(こ)は、親指(おやゆび)よりも大(おお)きくありませんでした!

そこで女(おんな)の人(ひと)は、彼女(かのじょ)を「おやゆびひめ」と呼(よ)びました。

これまでにいないくらい、美(うつく)しい女(おんな)の子(こ)でした!

金色(きんいろ)の髪(かみ)をしていて、かわいく微笑(ほほえ)みました。

女(おんな)の人(ひと)は彼女(かのじょ)をとてもかわいがりました!

ベッドはクルミの殻(から)でした。

お布団(ふとん)はバラの花(はな)びらでした。

お舟(ふね)はチューリップの花(はな)びらでした。

お皿(さら)に入(い)れた水(みず)の上(うえ)を、お舟(ふね)で進(すす)みました。

彼女(かのじょ)はとてもきれいな声(こえ)で歌(うた)いました!

3. みにくいヒキガエル 🐸

ある夜(よる)、みにくい年寄(としよ)りのヒキガエルが窓(まど)から入(はい)ってきました。

おやゆびひめが眠(ねむ)っているのを見(み)つけました。

「息子のいいお嫁(よめ)さんになりそうだ!」とヒキガエルはゲロゲロ鳴(な)きました。

クルミの殻(から)をつかみました!

おやゆびひめを連(つ)れて、ピョンピョンと行(い)ってしまいました!

ヒキガエルは泥(どろ)だらけの小川(おがわ)へ連(つ)れていきました。

「息子(むすこ)と結婚(けっこん)させるんだ!」とヒキガエルは言(い)いました。

おやゆびひめをハス(スイレン)の葉(は)っぱの上(うえ)に乗(の)せました。

葉(は)っぱは水(みず)の真(ま)ん中(なか)にありました!

おやゆびひめは逃(に)げられません!

目(め)を覚(さ)ますと、おやゆびひめは泣(な)き出(だ)しました!

ヒキガエルとその息子(むすこ)はとても恐(おそ)ろしかったのです!

結婚(けっこん)なんてしたくありません!

でも、ハスの葉(は)っぱの上(うえ)に閉(と)じ込(こ)められています!

まわりは水(みず)ばかりです!

魚(さかな)たちが、おやゆびひめをかわいそうに思(おも)いました。

魚(さかな)たちはハスの茎(くき)を噛(か)み切(き)りました!

葉(は)っぱはお舟(ふね)のように流(なが)れていきました!

おやゆびひめを乗(の)せて、川(かわ)をずっと下(くだ)っていきました!

ヒキガエルたちから逃(に)げることができたのです!

4. チョウチョとコガネムシ 🦋

きれいなチョウチョが飛(と)んできました!

ハスの葉(は)っぱにとまりました!

おやゆびひめは自分(じぶん)の帯(おび)をチョウチョに結(むす)びつけました。

チョウチョは葉(は)っぱを引(ひ)っ張(ぱ)って、もっと速(はや)く進(すす)みました!

一緒(いっしょ)に川(かわ)を下(くだ)っていきました!

突然(とつぜん)、コガネムシが飛(と)んできました!

おやゆびひめをつかまえて、飛(と)び去(さ)ってしまいました!

自分(じぶん)の木(き)へ連(つ)れていきました!

「かわいいだろう?」と、他(ほか)のコガネムシたちに聞(き)きました。

でも、みんなはそう思(おも)いませんでした!

「足(あし)が2本(ほん)しかないじゃないか!」とみんな言(い)いました。

「触角(しょっかく)もない!」

「人間(にんげん)みたいだ、なんてみにくいんだ!」

コガネムシは恥(は)ずかしくなりました。

おやゆびひめを森(もり)に置(お)いていってしまいました。

かわいそうなおやゆびひめは、ひとりぼっちです!

夏(なつ)のあいだ、森(もり)で暮(く)らしました。

草(くさ)でベッドを作(つく)りました。

花(はな)の蜜(みつ)を食(た)べました。

葉(は)っぱの露(つゆ)を飲(の)みました。

5. 野(の)ネズミ 🐭

夏(なつ)が終(お)わり、冬(ふゆ)が来(き)ました。

寒(さむ)くて雪(ゆき)が降(ふ)っていました!

おやゆびひめは凍(こご)えそうでした!

暖(あたた)かい住(す)む場所(ばしょ)がありません!

凍(こお)った畑(はたけ)を歩(ある)いていきました。

野(の)ネズミのドアを見(み)つけました。

そっとノックしました。

「お願(ねが)いです、助(たす)けて!」と頼(たの)みました。

「寒(さむ)くてお腹(なか)がペコペコなんです!」

親切(しんせつ)な野(の)ネズミは、中(なか)に入(い)れてくれました!

「かわいそうに!」とネズミは言(い)いました。

「ここで一緒(いっしょ)に暮(く)らしていいわよ!

でも、お部屋(へや)をきれいにしてちょうだいね。

それから、お話(はなし)を聞(き)かせてね!」

おやゆびひめは喜(よろこ)んで「はい」と言(い)いました!

野(の)ネズミにはお隣(となり)さんがいました。

お金持(かねも)ちのモグラでした。

地下(ちか)に大(おお)きな家(いえ)を持(も)っていました。

「いいだんなさんになるわよ!」とネズミは言(い)いました。

でも、おやゆびひめはモグラとなんて結婚(けっこん)したくありませんでした!

6. モグラのトンネル 🌑

モグラはふたりを招待(しょうたい)しました。

長(なが)いトンネルを掘(ほ)ったのです。

「気(き)をつけて」とモグラは言(い)いました。

「トンネルに死(し)んだ鳥(とり)がいるんだ。

こわがらなくていいよ!」

歩(ある)いていくと、おやゆびひめは鳥(とり)を見(み)つけました。

ツバメでした!

死(し)んで凍(こお)っているように見(み)えました!

モグラはそれを蹴飛(けと)ばしました。

「バカな鳥(とり)だ、南(みなみ)へ逃(に)げればよかったのに!」

その夜(よる)、おやゆびひめは眠(ねむ)れませんでした。

トンネルへ戻(もど)りました。

鳥(とり)のために毛布(もうふ)を持(も)っていきました。

ツバメにそっと掛(か)けてあげました。

「さようなら、きれいな鳥(とり)さん」とささやきました。

突然(とつぜん)、何(なに)かを感(かん)じました!

鳥(とり)の心臓(しんぞう)が動(うご)いていたのです!

死(し)んでいたのではなく、凍(こご)えていただけでした!

毛布(もうふ)の温(ぬく)もりが助(たす)けになったのです!

ツバメはうっすらと目(め)を開(あ)けました!

7. ツバメのお世話(せわ) 🩹

冬(ふゆ)のあいだ、おやゆびひめはツバメのお世話(せわ)をしました。

食(た)べ物(もの)と水(みず)を運(はこ)びました。

暖(あたた)かくしてあげました。

野(の)ネズミとモグラには内緒(ないしょ)でした!

秘密(ひみつ)にしていたのです!

ツバメは日(ひ)に日(ひ)に元気(げんき)になりました。

「命(いのち)を助(たす)けてくれてありがとう!」と彼(かれ)は言(い)いました。

「なんて優(やさ)しいんだ、おやゆびひめ!

春(はる)になったら、南(みなみ)へ飛(と)んで行(い)くよ。

一緒(いっしょ)に行(い)かないかい?」

「行(い)けません」と、おやゆびひめは悲(かな)しそうに言(い)いました。

「野(の)ネズミさんは親切(しんせつ)にしてくれたわ。

置(お)いてはいけないもの」

ツバメはわかってくれました。

春(はる)が来(き)て、彼(かれ)は飛(と)んで行(い)きました。

「さようなら、大切(たいせつ)な友(とも)だち!」おやゆびひめは呼(よ)びかけました。

8. 望(のぞ)まない結婚(けっこん) 💍

モグラが、おやゆびひめに結婚(けっこん)を申(もう)し込(こ)みました!

「結婚(けっこん)しなさい!」と野(の)ネズミは言(い)いました。

「お金持(かねも)ちだし、すてきな家(いえ)があるじゃない!」

でも、おやゆびひめは悲(かな)しくてたまりませんでした!

モグラのことなんて好(す)きじゃありません!

「結婚(けっこん)したら、一生(いっしょう)地下(ちか)で暮(く)らすことになるわ!

お日(ひ)さまも花(はな)も二度(にど)と見(み)られない!

鳥(とり)の歌(うた)も聞(き)けないわ!」

でも野(の)ネズミは決(き)めてしまいました。

結婚式(けっこんしき)は4週間後(しゅうかんご)です!

毎日(まいにち)、おやゆびひめは外(そと)に出(で)ました。

太陽(たいよう)と空(そら)を見上(みあ)げました。

「さようなら、明(あか)るいお日(ひ)さま!」悲(かな)しそうに言(い)いました。

「さようなら、美(うつく)しい世界(せかい)!」

とても不幸(ふこう)な気持(きも)ちでした!

9. ツバメが戻(もど)ってきた 🐦

結婚式(けっこんしき)の前日(ぜんじつ)、おやゆびひめは鳴(な)き声(ごえ)を聞(き)きました。

「チュンチュン!」

あのツバメでした!

戻(もど)ってきてくれたのです!

「おやゆびひめ!」うれしそうに呼(よ)びました!

「僕(ぼく)は暖(あたた)かい国(くに)へ行(い)くところなんだ!」と彼(かれ)は言(い)いました。

「一緒(いっしょ)においでよ!

僕(ぼく)の背中(せなか)に乗(の)って!

ここから飛(と)び立(た)とう!

君(きみ)が僕(ぼく)を助(たす)けてくれた、今度(こんど)は僕(ぼく)が助(たす)けるよ!」

おやゆびひめの心(こころ)は踊(おど)りました!

「はい!」彼女(かのじょ)は叫(さけ)びました。「行(い)くわ!」

彼女(かのじょ)はツバメの背中(せなか)に登(のぼ)りました。

自分(じぶん)の体(からだ)を草(くさ)で結(むす)びつけました。

高(たか)く、高(たか)く、空(そら)へ飛(と)び立(た)ちました!

下(した)の方(ほう)で、野(の)ネズミとモグラが呼(よ)んでいました。

でも、おやゆびひめとツバメは飛(と)んで行(い)きました!

森(もり)を越(こ)え、山(やま)を越(こ)え!

湖(みずうみ)を越(こ)え、海(うみ)を越(こ)え!

遠(とお)い遠(とお)い、暖(あたた)かい国(くに)へ!

10. 暖(あたた)かい国(くに) 🌺

ふたりは美(うつく)しい暖(あたた)かい国(くに)に着(つ)きました!

太陽(たいよう)が明(あか)るく輝(かがや)いていました!

あちこちに花(はな)が咲(さ)いていました!

まるで楽園(らくえん)です!

「ここが僕(ぼく)の住(す)むところだよ!」とツバメは言(い)いました!

彼(かれ)はおやゆびひめを、白(しろ)い花(はな)の上(うえ)に降(お)ろしました。

「ここを君(きみ)の家(いえ)にするといいよ!」

おやゆびひめは驚(おどろ)いて見回(みまわ)しました!

すべてが美(うつく)しかったのです!

ついに自由(じゆう)になれたのです!

突然(とつぜん)、花(はな)がもっと開(ひら)きました!

中(なか)に、小(ちい)さな男(おとこ)の人(ひと)が座(すわ)っていました!

チョウチョのような羽(はね)がありました!

金(きん)の冠(かんむり)をかぶっていました!

花(はな)の妖精(ようせい)たちの王(おう)さまでした!

「あなたはだれ?」王(おう)さまは驚(おどろ)いて聞(き)きました。

「こんなに美(うつく)しい人(ひと)は初(はじ)めて見(み)た!」

おやゆびひめは頬(ほお)を赤(あか)らめました!

小(ちい)さな王(おう)さまはとてもハンサムでした!

それに、彼女(かのじょ)とぴったり同(おな)じ大きさでした!

11. 運命(うんめい)の人(ひと) 👑

王(おう)さまはすぐに恋(こい)に落(お)ちました!

「私(わたし)の女王(じょおう)になってくれませんか?」と聞(き)きました。

「私(わたし)たちは同(おな)じ大きさだ!

二人(ふたり)とも花(はな)と太陽(たいよう)が大好(だいす)きだ!

お願(ねが)いだから、イエスと言(い)って!」

おやゆびひめは、優(やさ)しい王(おう)さまを見(み)つめました。

美(うつく)しい景色(けしき)を見(み)ました。

モグラとの暗(くら)い地下(ちか)での生活(せいかつ)を思(おも)い出(だ)しました。

「はい!」彼女(かのじょ)はうれしそうに言(い)いました。

「結婚(けっこん)します!」

他(ほか)の花(はな)の妖精(ようせい)たちも現(あらわ)れました!

おやゆびひめにプレゼントを持(も)ってきました!

みんなと同(おな)じ、きれいな羽(はね)です!

花(はな)の冠(かんむり)!

花(はな)びらで作(つく)ったかわいいドレス!

すてきな結婚式(けっこんしき)を挙(あ)げました!

すべての花(はな)が咲(さ)き誇(ほこ)りました!

すべての鳥(とり)が歌(うた)いました!

ツバメがいちばん大声(おおごえ)で歌(うた)いました!

おやゆびひめは、ついに幸(しあわ)せになりました!

12. いつまでも幸(しあわ)せに 🌸

王(おう)さまは、おやゆびひめに新(あたら)しい名前(なまえ)をつけました。

「君(きみ)をマイアと呼(よ)ぼう!」と言(い)いました。

「『愛(あい)する人(ひと)』という意味(いみ)だよ」

おやゆびひめは新(あたら)しい名前(なまえ)が気(き)に入(い)りました!

新(あたら)しい生活(せいかつ)が大好(だいす)きでした!

彼女(かのじょ)は花(はな)の女王(じょおう)になりました!

花(はな)から花(はな)へと飛(と)び回(まわ)りました!

お日(ひ)さまの下(した)でダンスをしました!

鳥(とり)たちと一緒(いっしょ)に歌(うた)いました!

もう二度(にど)と、寒(さむ)い思(おも)いや悲(かな)しい思(おも)いをすることはありませんでした!

ツバメは毎年(まいとし)夏(なつ)になると、北(きた)の国(くに)へ戻(もど)っていきました。

そして、おやゆびひめのお話(はなし)をみんなに話(はな)しました。

「いちばん小(ちい)さな女(おんな)の子(こ)が、いちばん大(おお)きな冒険(ぼうけん)をしたんだよ!」と歌(うた)いました。

こうして、この物語(ものがたり)が知(し)られるようになったのです。

そして、マイアと呼(よ)ばれるようになったおやゆびひめは、常夏(とこなつ)の国(くに)で花(はな)の王(おう)さまといつまでも幸(しあわ)せに暮(く)らしました!